こまつ座「夢の泪」の稽古に奮闘中! 20年以上も前の作品なのに、今の日本への警鐘としか思えない井上ひさし作品
「困ったことに、ぼくらの選んだ議員たちが、議会で作ってしまうんですよ」
「議員になったとたん、ほとんどが別人格になってしまうらしい」
「8月15日の1週間前、8月7日に、すべての役所に、すべての文書を焼くよう、命令が出ていたんです」
「役所の文書には、ハンコや署名がついているでしょう。どの政策にはだれが責任を持つべきか、ハッキリしてしまう。証拠隠滅ね」
「雨もりでグチョグチョの防空壕住まいがまだゴマンといる。食料の配給はひと月もふた月も遅れ、でも政府はなにもしない」
これなどまんま能登半島地震の被災地のことではないか。戦後間もない話、しかも20年前に書かれたのに、まるで現在、ただ今を書いているようである。
これは井上先生の予言なのか、それとも日本が何十年も全く変わっていないのか。おそらくその両方であろう。
現在はモノにあふれ、一見は幸せそうに見える日本だが、政治の世界は膿だらけ、多くの国民は貧困に喘いでいる。実は日本はあの瓦礫だらけの戦後すぐの世界と同じなのではないか。
井上さんの芝居は全く古くならず、今も警鐘を鳴らし続けている。