映画「パラサイト」の半地下はまだマシ…韓国の貧困層を襲う“雪だるま式”の不幸
■不動産高騰で半地下住居でさえ安くない
映画のフライヤーには「半地下はまだマシ」とあるが、実際、ソウル市内の不動産が高騰しているため、今では半地下住居でさえ安くはない。映画「パラサイト 半地下の家族」では韓国の格差社会と住居貧困が注目されたが、あの映画で半地下住居に暮らしていたのは4人家族だった。室内は比較的広く、部屋数もある。韓国では映画が公開された直後から「貧困層のわりに贅沢空間」という声も聞かれた。
半地下住居はたしかに日当たりは悪いが、本当の住居貧困といえば半地下や屋根部屋(ビルの屋上のバラック)よりも“ビニールハウス”といわれているのだ。実際、ソウル近郊にはビニールハウス村やビニールハウス地区と呼ばれる地域が今もある。
ちなみに、「半地下はまだマシ」とうたっている「ビニールハウス」だが、昨年4月には「高速道路家族」という韓国映画も日本で公開されていた。こちらは住居さえ持たず、高速道路のサービスエリアを転々とし、テントで暮らしている家族の物語だ。まるで住居貧困のマウントのようだが、その映画にしてみたら「ビニールハウスはまだマシ」ということになるのかもしれない。