苦節20年の「R-1」王者 街裏ぴんくが芸人仲間から慕われるワケ
また約2年前、駒場から「結婚指輪はめてやるってどうですか?」とアドバイスされたこと、同時期に亡くなった祖父の指輪を譲り受けたことが重なり、右の薬指に指輪をしてネタを披露するようになったと明かしている。
今の活躍があるのは、こうした周囲の後押しも大きかったように思えてならない。
2012年に大阪から上京。“世界で一番小さな劇場”とうたわれる「浅草リトルシアター」を中心に腕を磨いた。14年に現在の事務所「トゥインクル・コーポレーション」に所属したが、鳴かず飛ばずの日々は続く。
アルバイトも続かない。警備員の仕事は上司から理不尽な言葉を浴びせられ、感情的になって口論となり1日で辞めてしまった。酒やギャンブルに費やすのではなく、単純に収入が少ないことで借金を膨らませた。
それでも、芸人や業界関係者からの評価は高かった。19年にある芸人から、「本当に面白い。けど、もう売れないとタイミングが難しい」と聞いたことがある。とくに21~23年のR-1は「プロは芸歴10年以内」との条件が加わり、街裏は出場資格を失った。