米倉涼子主演「エンジェルフライト」は古沢良太の脚本が見事だ
海外で亡くなった人たちの遺体を、日本にいる遺族の元に届ける。それを実現するのが、「国際霊柩送還士」というスペシャリストだ。
米倉涼子主演「エンジェルフライト」(NHK BS)は、知られざる彼らの活動を描いている。
伊沢那美(米倉)が社長、柏木(遠藤憲一)が会長を務める「エンジェルハース」は羽田空港内にある会社だ。遺体送還の依頼があれば、世界のどこへでも飛ぶ。
海外で不慮の事故や災害に遭遇した遺体は、ひどい損傷を負った場合が多い。那美たちは遺体に丁寧なエンバーミング(遺体衛生保全)を施し、生前の姿に近づけるのだ。
マニラでギャングの抗争に巻き込まれて亡くなった青年。開発支援でアフリカ某国に赴き、テロ事件で命を落とした人たち。那美は新人の凛子(松本穂香)と共に、体を張って使命を果たす。
23日放送の第3話では、ソウルで急死した大衆食堂主人の恵(余貴美子)と、やはり現地で客死した会社社長の大波(井上肇)を同時に送還する事態が発生した。悪天候で遺体を運べる便が限られ、那美たちはどちらを優先的に空輸するか、苦渋の選択を迫られる。
恵と大波、それぞれが歩んできた人生だけでなく、彼らの帰りを待つ人たちの思いも織り込まれた物語。予測を超えた鮮やかな展開を見せる、古沢良太(「どうする家康」など)の脚本が見事だ。