著者のコラム一覧
スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。主な著書に「中森明菜の音楽1982-1991」「〈きゅんメロ〉の法則」「サブカルサラリーマンになろう」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。ラジオDJとしても活躍中。

「TOKIO」はイントロの25秒で80年代をグッと引き寄せた

公開日: 更新日:

1980年の沢田研二③

 オリコン最高8位。この曲が意外に低いセールス記録以上に記憶に残るのは、巨大パラシュートを背負う奇抜なファッションもさることながら、イントロが大きく奏功した結果だと考える。「TOKIO」のイントロは、それくらい画期的なものだった。

 80年代をグッと引き寄せる25秒。アルバムバージョンとは異なり、シングルではいきなりTOKIOの夜空を切り裂くようなギターから始まる。

「♪ジャッ・ジャラッ・ジャッ~」というコードカッティング(サブスクに入っているので、ぜひいま一度聴きながら読まれたい)。そのギターの音は確かにジャラッと歪んでいる。ただし、70年代ハードロック、例えば日本で大人気だった英国のバンド、ディープ・パープルのようなギターの音ではない。もっと軽くペラッペラな響きで、どちらかといえばハードロックというより、パンクな響きで迫ってくる。

 当時、大阪のあるラジオDJが「セックス・ピストルズの『アナーキー・イン・ザ・UK』みたいやな」と言っていた。まさにそんな感じ。

 と思っていると、その下に♪ポペポペ……と楽しそうに跳躍するベースが入ってきて、パンク的な暴力的イメージが取り払われる。曲全体が、どこかコミカルに躍動し始めるのだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  2. 2

    五輪ニッポン「破産」するスポーツ団体が続出か…JOCは早くも助成金の大幅減額通達

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  4. 4

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸300億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  5. 10

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは