「TOKIO」はイントロの25秒で80年代をグッと引き寄せた
シングル「TOKIO」1980年1月1日発売②
オリコン最高8位。この曲が意外に低いセールス記録以上に記憶に残るのは、巨大パラシュートを背負う奇抜なファッションもさることながら、イントロが大きく奏功した結果だと考える。「TOKIO」のイントロは、それくらい画期的なものだった。
80年代をグッと引き寄せる25秒。アルバムバージョンとは異なり、シングルではいきなりTOKIOの夜空を切り裂くようなギターから始まる。
「♪ジャッ・ジャラッ・ジャッ~」というコードカッティング(サブスクに入っているので、ぜひいま一度聴きながら読まれたい)。そのギターの音は確かにジャラッと歪んでいる。ただし、70年代ハードロック、例えば日本で大人気だった英国のバンド、ディープ・パープルのようなギターの音ではない。もっと軽くペラッペラな響きで、どちらかといえばハードロックというより、パンクな響きで迫ってくる。
当時、大阪のあるラジオDJが「セックス・ピストルズの『アナーキー・イン・ザ・UK』みたいやな」と言っていた。まさにそんな感じ。
と思っていると、その下に♪ポペポペ……と楽しそうに跳躍するベースが入ってきて、パンク的な暴力的イメージが取り払われる。曲全体が、どこかコミカルに躍動し始めるのだ。