三国連太郎と佐藤浩市 確執の父子が「美味しんぼ」で共演
<1996年4月>
日本を代表する個性派俳優として数多くの映画やドラマに出演した名優の三国連太郎。演技派として評価が高い長男の佐藤浩市とは長らく確執が伝えられ、仕事で顔を合わせることはほとんどなかった。だが、三国73歳、佐藤35歳の時に本格的な共演が実現する。それも同じく父子の対決を描いた1996年の映画「美味しんぼ」だった。
佐藤の母親は三国の3度目の結婚相手。この時すでに俳優としての評価を確立していた三国は神楽坂の芸者と同棲生活を始め、ほどなく佐藤が生まれた。しかし、名うてのプレーボーイとして知られ、当時の結婚生活を「下宿生活に女が付いてきた」と振り返る三国の結婚生活はほどなく破綻する。子どものことを考えてすぐの離婚は思いとどまったが、佐藤が12歳の時、財産のほとんどを渡して正式離婚。
三国は父子で箱根・十国峠に出かけ、「ここでおまえと別れる。今日から他人になる。一切関係を断つ。これから1人で一生懸命生きてくれ」と話したという。
19歳で俳優デビューした佐藤は「反感はありませんけど、僕と父とは関係ありません」と反発する一方で、「目の上のたんこぶという言い方が一番近い」「何年か後、三国さんをつぶせる力をつけた時に共演したい」とむき出しの対抗心を燃やす言葉ももらした。