症状消えても完治ではない 歯の健康は「メンテナンス」が肝心
「そうやって“壊滅状態”に至った人が、定年後にいらっしゃるのです。痛んで抜く歯の本数が多いほど、噛み合わせのバランスが崩れ、全体へ及ぼす影響が大きくなります。治療費も高額になり、食べられない食品が増えていきます」
■“歯科ジプシー”になる患者も
ナス、漬物、粗びきソーセージ、かっぱ巻き、焼き肉、ホタテやタコといった魚介類など、噛み切れないために食べられなくなる食品は想像以上に多い。結果、「定年後は旅行をしておいしいものを食べたい」といった希望がついえてしまう。定期的にメンテナンスをしていた妻はなんでも食べられるので、「それを見るにつけ、腹立たしい」とこぼす男性もいるという。
「入れ歯、ブリッジ、インプラントという治療方法もありますが、これはこれで、『治したはずなのにトラブルが出てきた』と訴えて歯科医院を転々とする“歯科ジプシー”になっている患者さんも珍しくありません」
入れ歯ひとつとってもさまざまな材料があり、質はピンキリだ。口の中は骨格や歯のつくりなど人によって異なり、歯周病による“損傷度”も違う。最新の質のいい材料を使い、各人に合うように何度もチェックをしようとすれば、保険の適用でカバーできないところも出てくるし、費用もそれなりにかかる。