意外な因果関係 “匂い”が分からなくなったら「認知症」を疑え
いまや老後の最大リスクとして注目を集めている認知症。薬をはじめさまざまな治療法が整いつつあるが、問題は早期発見ができないこと。ところが、意外や意外、「匂い」がそのカギになるという。
都内に住むAさん(66)は最近、匂いが区別できなくなっていることを妻から指摘された。
「“いい香りがするでしょう”と桃やオレンジを差し出されても違いが分からない。“トイレが臭い”と言われても、自分では臭いとは感じない。それで耳鼻科で診てもらうことにしました」(Aさん)
アレコレ検査してみたが原因不明。蓄膿症や鼻炎など鼻に異常は見当たらない。念のため、医師から神経内科の受診を勧められたという。
「最初は、いったい何の病気だろうとびっくりしました。後で認知症などの脳の病気でも嗅覚障害が起こる場合があるというから二度びっくりです。想像すらしていませんでした」(Aさん)
嗅覚障害と脳の神経変性疾患(脳や脊髄の神経細胞の一部が失われる病気)との関係を研究している順天堂大学医学部耳鼻咽喉科の池田勝久教授が言う。