便秘・下痢の改善を妨げる日本人の「ねじれ腸」と「落下腸」
「一つの薬や治療法が便秘全般や過敏性腸症候群(IBS)全般に効くように言われることがよくありますが、そういう都合の良い薬や治療法はありません」
こうキッパリ言うのは、世界的な大腸内視鏡医で、「女はつまる 男はくだる」などの著書がある国立病院機構久里浜医療センターの水上健氏(内視鏡検診センター部長)。どういうこと? 話を聞いた。
Aさんは便秘を改善するために、野菜やキノコ類、海藻類など、食物繊維が多いといわれる食品をせっせと取った。ところが便秘が治るどころか、オナラがやたらと出るようになり、おなかの張りと腹痛がひどくなった。
Bさんは、便秘と下痢が交互にくるタイプのIBSと診断された。「ストレスと関係が深い」と主治医から言われ、メンタルの薬を飲み会社を休んだところ、かえって便秘や腹痛が悪化した。
AさんもBさんも、「便秘・IBSとは、こういうもの」といった“思い込み対処法”がアダになったという。
「便秘やIBSは症状名で、原因を示すものではありません。一般臨床で遭遇するものとして便秘には7つ、IBSには3つの原因があり、それぞれの原因に応じた対処法や治療法でなければ改善しない。見当はずれの治療では症状がかえって悪化することもあります」