著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

看護師11万人を追跡調査 「夜勤」は健康に良くないのか?

公開日: 更新日:

 夜勤のある人は、生活が不規則になりがちなものです。不規則な生活は、いわゆる生活習慣病などを引き起こしやすいと考えられますが、看護師を対象に「夜勤と心臓病発症の関連」を検討した論文が、米国医師会誌(2016年4月26日付)に掲載されました。

 この研究は米国の看護師を登録した大規模データベース「看護師健康調査」(NHS)から7万3623人(平均54.5歳)、同じく「看護師健康調査Ⅱ」(NHSⅡ)から11万5535人(平均34.8歳)が対象となっています。通常勤務に加えて月に3日以上夜勤がある看護師と夜勤のない看護師を比較し、心臓病の発症について24年間にわたり追跡調査しました。

 その結果、夜勤のある看護師は、勤務年数が長くなるにつれて心臓病の発症リスクがわずかに増加しました。NHSのデータベース解析では、夜勤歴が5年未満では明確な差が見られませんでしたが、夜勤歴が5~9年では1.12倍、さらに10年以上になると1.18倍、統計学的にも有意に増加するという結果になっています。

 NHSⅡのデータベース解析もほぼ同様で、夜間勤務従事歴が5年未満では明確な差が見られませんでしたが、従事歴が5~9年の看護師は1.12倍、さらに10年以上になると1.15倍、統計学的にも有意に増加することが示されています。

 夜勤歴が長くなるほど、心臓病発症リスクが増加することが示唆されていますが、そのリスクはごくわずかという印象です。とはいえ、夜勤による身体的、精神的負担は人それぞれであり、また心臓病以外にも、さまざまな健康への影響に配慮する必要があります。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    コメンテーター「早口すぎて何を言っているのか聞き取れない」ワースト5はこの人たちだ

  2. 2

    巨人が決められないバント、出ない適時打の八方ふさがり

  3. 3

    魔性の女に翻弄された真田広之と手塚理美の離婚

  4. 4

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  5. 5

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    悠仁さまは東大志望でも…一般受験生が選ぶなら"定評ある"トンボ研究の大学は?

  3. 8

    高市早苗氏の猛追に旧統一教会が見え隠れ…熱心な信者がXで「サナエ一択」を大拡散

  4. 9

    葉月里緒奈47歳“魔性の女”の現在地 セレブ生活の投稿が性に合っている?

  5. 10

    小泉進次郎氏のトンチンカンが止まらない!「大学に行くのがすべてではない」「改憲はファストパス」まで飛び出す始末