科学的根拠なくても 歯科医が語るデンタルフロスの有効性
日本では、口腔ケアが歯周病や糖尿病、心筋梗塞などの発症リスクを抑える効果があるとして、デンタルフロスの活用が奨励されるようになった。実際、「歯磨きだけで取れる汚れは61%、歯磨き+デンタルフロス79%」という歯ブラシなどを製造・販売しているメーカーの調査結果などを引き合いに出す歯科医師も増えている。
ホントにフロスは役に立たないのか? 自由診療歯科医で八重洲歯科クリニック(東京・京橋)の木村陽介院長が言う。
「私はそうは思いません。そもそも“フロスの有効性を裏付ける学術研究がない”ということと“フロスに効果なし”とは別物です。お肉などを食べて十分歯磨きをした後でも、フロスを使うと食片が取れた、といった経験があるでしょう。フロスを使う有効性は証明される必要のない事実。わざわざ、莫大な費用と時間をかけて、自明の結論を証明する研究者なんていません。ですから『フロスの有効性を裏付ける学術研究がない』というのは当たり前です」
■悪玉細菌の増殖を抑え口腔内の環境改善
かつては、フロスの有効性を裏付けようとする研究はあった。しかし、いまの基準から見れば被験者数が少なかったり、手法がお粗末だったり、計測方法に無理があったりするため、エビデンスが脆弱に見えるのだという。