気づかぬ間に腎機能に障害も…頻尿よりも怖い残尿の悩み
「ところが、膀胱には順応性があり、次第に残尿感が麻痺していきます。しかし、残尿を起こした原因はそのままなので、50ミリリットルから60ミリリットル、70ミリリットル……と残尿量が増え、慢性化していきます。残尿がある分、早く膀胱が満タンになるので頻尿になります」
つまり、頻尿と思い込んでいるのは、実は残尿だったということも。いや、むしろそれは、想像しているより多いと頴川教授は指摘する。ちなみに、「残尿感が麻痺」と述べたが、残尿と残尿感はイコールではないので、「残尿感がない=残尿がない」とは言い切れない。
知らないうちに「残尿」という問題点を抱えてしまうわけだが、放置しておくと深刻だ。
残尿が続くと、尿道に一部存在する常在菌が正常な量を超えて繁殖し、膀胱炎、前立腺炎などの炎症を起こす。それが高じて腎臓にまで菌が広がり、腎盂炎を発症する。
「急性の前立腺炎や腎盂炎は、抗生物質で対処できない場合もあります。すると、敗血症を起こし、命を落とすケースもある。特に、残尿は中高年に多く見られるので、ほかの臓器にも問題を抱えている場合も多く、危険です」