改正がん対策基本法で考えた「がん治療と仕事」両立のカギ
毎年100万人が新たにがんを発症し、37万人ががんで亡くなっています。発症者数のうち3割は65歳未満。仕事を持つ現役世代ががんを患うことは決して珍しくありません。いろいろな報告を総合すると、65歳未満でがんを発症する確率は、15%とされます。
がんになったら治療はもちろん大切ですが、仕事との両立がとても大きなテーマといえるでしょう。そんな状況を受け、改正がん対策基本法が9日、成立しました。そのポイントが、がん患者の雇用継続に企業が配慮するよう明記したこと。
なぜそんな法律が成立したのでしょうか。現実は、なかなかそうなっていないのです。がんと診断された現役世代は、4人に3人が働き続けることを望んでいます。ところが、がんと診断を受けて離職する人が少なくないのです。
厚労省研究班の調査によると、がんになると3割が離職。そのうち4割は治療開始前に職場を去っています。告知直後の2週間はショックが大きくうつ状態になり、冷静な判断能力を失い、絶望感から離職を選択してしまうのです。さらに2割は、休んで治療を受けたものの復帰できずに退職しています。