検査で異常なし…そのシビレは多発性硬化症かもしれない
多発性硬化症は、中枢神経を自己免疫が攻撃して、中枢神経を構成する大脳、小脳、脳幹、視神経、脊髄の働きに異常が起こる疾患だ。根本的な原因は不明。男女比は1対3で女性に多く、ほとんどが20~30代の若い時に発症する。
一般的に、症状が出てもいったんは“治る”。最初は大した症状ではなく、ちょっとした違和感程度のこともある。しかし、その後再発し、そして再発を繰り返し、進行していく。末期になると認知機能障害や歩行障害が出てくる。
多発性硬化症の診断が難しいのは、症状が多岐にわたるからだ。
「自己免疫が攻撃して起こるのを『脱髄斑』と呼びますが、これが中枢神経のどこに起こるかで、症状は異なります。さらに、脱髄斑は複数起こるので、症状はいくつも出てくるのです」
典型例を挙げると、しびれ、麻痺、記憶力低下、理解力低下、健忘、視力低下、視野障害、物が複数に見える複視、歩行障害など。
これらの症状が出てきた時、たいていの人は、神経内科よりも整形外科、脳神経外科、眼科などを「関連した科」と考えるだろう。