検査で異常なし…そのシビレは多発性硬化症かもしれない
■早期発見、早期治療を
しかも、多発性硬化症は、早期では検査や診察で捉えられない場合が珍しくない。また、MRIで確認できる場合でも、その検査に至っていなかったり、症状が消えるために「治った」と医者も患者も思ってしまうこともよくある。結果、冒頭のように「なんともない」「正常」「異常なし」となる。
しかし、多発性硬化症は早期に適切な治療を開始できるかどうかで、「その後」が大きく変わる。
「かつては急性期治療(症状を抑える)しかなく、再発を防ぎ、進行を食い止める治療はありませんでした。しかし今は、早期で診断がつけば、再発を防ぐ治療法があるのです」
多発性硬化症は障害度に応じて段階が分かれ、1年ほどで一気に進行する人もいれば、徐々に悪くなっていく人もいる。いずれにしろ、「見た目が元気」程度の早期で治療を開始しなければ、その後、治療を受けても、効果を得られない。
「認知機能が低下したり、歩行ができなくなっている患者さんの中には、『なぜあの段階で多発性硬化症の診断を受けられなかったのか、治療を開始できなかったのか』『治療できていれば認知機能を維持できたかもしれない』などと思う方が少なくありません」
そうならないために、知識として押さえておくべきが、多発性硬化症なのだ。