“神の手”解説 「脳動脈瘤」2大治療メリットとデメリット
突然死を招く重大病として知られる「くも膜下出血」。その最大の原因は脳の動脈にできた脳動脈瘤の破裂だ。いったん破裂すると、社会復帰できるのは3分の1程度で、残りは死亡するか、社会復帰が不可能なほどの後遺症を残してしまう。この極めて恐ろしい「脳動脈瘤」の治療法には、2つの治療法がある。「開頭クリッピング術」と「脳血管内治療(コイル塞栓術)」だ。中心となる治療法はどちらなのか。
日本で1970年代から行われている「開頭クリッピング術」は、伝統的な脳動脈瘤の手術法だ。全身麻酔をかけて頭部を切開し、動脈瘤の根元を洗濯ばさみの形をしたチタン製のクリップで挟み、血流を止めて破裂を防ぐ。
一方、脳血管内治療である「コイル塞栓術」は1997年から始まり、まだ20年と歴史が浅い。脚の付け根(鼠径部)の動脈から1ミリ弱のカテーテルを挿入。プラチナ製コイルを脳動脈まで到達させて、脳動脈の内部をふさいでしまう。
一時期、コイル塞栓術がクローズアップされたが、いまはどうか? 緊急を除いておよそ半年待ち。脳動脈瘤手術では、「神の手」の評価を持つ「昭和大学病院・脳神経外科」(東京・品川)の水谷徹主任教授が言う。