【切れ痔】“便の硬さ”によって市販薬を使い分け
切れ痔のほとんどは、便秘などで“硬い便”が出るときに肛門(肛門上皮)が裂けることが原因だ。しかし、慢性の下痢でも起こる場合がある。東肛門科胃腸科クリニック(東京・恵比寿)の東光邦院長が言う。
「便や腸液はアルカリ性ですが、肛門上皮は皮膚と同じ弱酸性です。下痢で頻繁に排便を繰り返すと、肛門上皮がただれて弱くなり、裂けることがあるのです」
いずれにしても切れ痔になったら激痛が走るからと、排便を我慢するのが一番よくない。便が硬くなり、悪循環を起こすからだ。排便時に痛みを感じたら、とりあえず市販の痔の薬を使った方がいいという。どれも配合成分に大きな差はないが、剤形に種類がある。「座剤」と「軟膏(なんこう)剤(軟膏と注入軟膏)」が主流だ。
「裂けている部分は肛門の締まっているところから1~1.5センチの奥なので、指で塗る軟膏では薬が届きません。肛門に容器の先を入れて薬を送る注入軟膏を選ぶといいでしょう。便が硬くて出にくい場合は、肛門に軟膏を塗って座剤を入れる。座剤の基剤は油成分なので、溶けて便が出やすくなります」