胃壁から出血することも 「痛み止め」服用のリスクを知る
こう言うのは「鳥居内科クリニック」(東京・成城)の鳥居明院長だ。
■「座薬なら問題ないのでは」も大きな間違い
このような、痛み止めが原因となる胃・十二指腸の潰瘍を「NSAIDs潰瘍」という。関節リウマチや変形性関節症などの治療で、非ステロイド系消炎・鎮痛薬を常用している高齢者に多く発生する。
「薬以外で胃の粘膜を荒らすのは、強いストレスや大量飲酒、喫煙、それにピロリ菌などです。心当たりのある人は気をつけましょう。困ったことにNSAIDs潰瘍は、通常の胃・十二指腸潰瘍と違って、みぞおちあたりの痛みや胸やけ、ゲップなどの症状が表れにくく、突然、吐血や下血を起こしたり、自覚のないまま貧血が進行することがあります」
そんな状態で血液をサラサラにする薬を使えば、胃や腸から出血するリスクが高くなるのは当然だ。
ちなみに、止血には2つの段階がある。①血小板が血管の傷ついた部分にくっつき、血小板同士が塊をつくる②凝固因子が働きフィブリンという糊が塊を強固にする。