乳がん検診の“患者狩り” 受診率が高いほど死亡率は減る?
乳がん患者が増えているのは先日見た通りですが、あまりの急増ぶりには首をかしげたくなります。それについては、「乳がん検診による『患者狩り』の影響が大きいのではないか」と指摘する専門家も大勢います。
厚労省は40歳以上の全女性に、2年に1度は乳がん検診(マンモグラフィー)を受けるように呼び掛けています。乳房をプラスチックの板で挟んでのばし、X線写真を撮影する方法で、見落としが少なく検出率が高いといわれています。有名人の乳がんが報道されたこともあって、年々検診率が上昇していますが、それに比例するように乳がん患者も増え続けているのです。
この問題は欧米ではすでに数年前からいわれており、「過剰診断」「過剰治療」でかえって健康を害してしまう人が大勢いることが明らかになりつつあります。しかし、早期発見によって助かる人もいるので、検診結果の利益と不利益のバランスをどう取っていくかが重要な課題になっています。
今回はレセプトデータを使わず、都道府県別の乳がん検診の受診率と年齢調整死亡率(以下、死亡率と略す)を〈表〉にまとめてみました。受診率は2013年において「過去2年以内に検診を受けた」40歳以上の女性の割合。死亡率は15年における75歳未満の女性10万人当たりの死亡人数のこと。都道府県レベルでは、75歳以上も含めた年齢調整死亡率は公表されていません。