“病は気から”に数々の研究報告 プラセボ効果はなぜ起こる

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 驚くべきは、ニセの医療行為であると知っていても「治るかもしれない」と患者が思い込めれば、効果が望めることだ。

 ハーバード大学の心理学者カーシュらの研究グループは10年の研究で過敏性腸症候群の患者40人に「あなたが飲むのは薬理効果のない物質でできた薬ですが、心身の自己回復過程を介して症状を大幅に改善する可能性があることが臨床試験によって明らかにされています」と説明。1日2回、21日間投与したところ、まったく治療を受けなかった患者40人と比べ経過は良好で、重症者の数が減少したという。

 ニセと分かっていても効果があるということは、プラセボ効果は偽薬やニセ手術などだけで引き起こされるとは考えにくい。何によって起こるのか? 独協医科大学越谷病院こころの診療科の井原裕教授が言う。

「私は、治験に伴う“医師面接そのもの”が効いているのではないかと考えています。薬の有効性、安全性を調べるための治験は通常、数週間行われます。その間、被験者の方は、1、2週に1度、30分程度、担当医から“痛みはありませんか”“眠れましたか”などと聞かれます。毎週のように医師が一対一での丁寧な健康相談を行うわけです。こんな心強い経験は、誰にとっても初めてでしょう。その心理的効果が大きいと思います」

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