“病は気から”に数々の研究報告 プラセボ効果はなぜ起こる
08年の米国のプラセボ研究もこれを証明している。
過敏性腸症候群の患者262人を対象とした研究は、「ニセのはり治療を施す群」と「順番待ちの待機群」に分け、前者をさらに「治療側と会話が全くない」群と「治療側が大げさに思いやりと共感を示した群」とに分けて行われた。
結果は、待機群で腸の症状が改善したという人は28%、会話がない群は44%、思いやりを示された群は62%だった。
■大げさな配慮や気遣いで治療効果がアップ
別の研究では、分娩中に一対一のサポートを受けた妊婦は帝王切開や器具の使用が少なくなることが判明している。つまり、患者への配慮や気遣いのある病院ほど患者は痛みが治まり、治療効果が上がるのだ。
むろん、プラセボ効果はすべての人がどんな状況になっても効果を発揮するわけではない。
「1型糖尿病の人に偽薬を与えてもインスリン投与が不要になるわけでもないし、切断した脚が生えてくるわけではありません。つまり、プラセボ効果はいま現在、体に備わっている器官に対する作用に限られ、生活の質の向上や痛みなどを軽くすることです」(前出の青島氏)