手術で救えるのは患者本人だけではない
女性だけにみられる「ターナー症候群」も心臓や血管にトラブルを起こしやすい先天性疾患です。染色体異常の一種で、本来なら2つあるべきX染色体の一方が不完全だったり、完全に欠けていることで起こります。
新生児期の四肢の浮腫、著しい低身長、無月経など第2次性徴の欠如などの症状が特徴です。約20%の患者さんは先天性心疾患を伴い、大動脈縮窄症、大動脈二尖弁、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症といった疾患が多くみられます。ターナー症候群の患者さんは内臓の器官が正常に発育できないため、血管や心臓が奇形化しやすく、正常な働きができなくなってしまうリスクが高くなるのです。
■子供の先天性疾患は親が罪悪感を抱えている
以前、ターナー症候群の患者さんの心臓手術を行ったことがあります。他の病院でターナー症候群と診断されていた患者さんで、大動脈弁狭窄症が悪化したことで、私のところに紹介されてきたのです。大動脈弁を交換する弁置換術を行い、いまも社会人として元気に生活されています。
ターナー症候群の患者さんの多くは、女性ホルモンや成長ホルモンを薬で補充する治療が行われますが、突然死を防ぐためには、やはり定期的な検査が必要です。CT、MRI、エコーなどで心臓や血管に異変がないかどうかをフォローすることが大切になります。