手術で救えるのは患者本人だけではない
前回のマルファン症候群も含め、心臓や血管のトラブルを合併しやすいこれらの症候群は、若くして突然死するリスクが高くなります。だからこそ、なんとしても突然死を防ぐことが重要ですし、現代の医学ではその多くを防ぐことができます。
こうした心臓突然死のリスクが高い先天性疾患がある場合、その患者の親御さんが非常に大きな罪悪感を抱いているケースがほとんどです。「自分のせいで、子供にこんな不幸を背負わせてしまった……」と思い詰めているのです。そんな“重荷”を取り除き、解放してあげるためには、段階的にきちんと手術を行い、「もう、心配する必要はありません。お子さんが抱えるリスクは、いまの医学がしっかり解決してくれます」といった話をして安心感を抱いてもらうしかありません。
突然死するリスクが高い心臓疾患を起こしやすい症候群の患者さんの手術には、本人だけでなく、その親御さんを救う役割もある。私はそう考えています。