熱中症と勘違い 猛暑で増える肺血栓塞栓症に突然死リスク
原因は主に3つある。「静脈の血管が傷ついた」「静脈の血流が悪くなった」「先天的、あるいは後天的に、血液が固まりやすい体質」だ。このうち、夏は2つ目の「静脈の血流が悪くなった」に注意したい。
「夏は熱を放出するため血管が広がり、血圧が下がって血流が悪くなる。加えて、水分補給が十分でなく脱水症状を起こすと血栓ができやすくなり、肺血栓塞栓症のリスクが増すのです」
重症例では、突然、失神や心停止を起こす。しかし軽症、中等症では、呼吸困難、全身倦怠感、不安感、動悸、冷や汗などで、特有の症状はない。「なんとなく具合が悪い」といった訴えもあり、熱中症と間違えやすい。
■普通に歩けていた人が急に心肺停止
大谷院長が実際に診たケースはこうだった。50代の男性は、以前から喘息で同クリニックにかかっていた。猛暑のある日、「熱中症かもしれないですが……」と来院した。
大谷院長はさまざまな検査に加え、心不全のマーカーとなる物質の値を測定。すると、やや高めだった。肺血栓塞栓症か判断に迷う値だったが、念のため、応急処置もできる近くの東京医科歯科大学病院に連絡を取り、向かってもらった。