著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

高齢者には慎重に使わなければならない薬がたくさんある

公開日: 更新日:

 薬のやめどき=いつまで継続すればいいのか。

 睡眠薬を例に挙げ、海外では長期使用されていない薬が、日本では長期間使用している場合があることを紹介しました。

 また、高齢者に対する薬の使用基準として「STOPP/START基準」や「Beers基準」があることもお話ししました。ただし、これらはいずれも海外から来た基準です。

 日本人に合った基準としては、日本老年医学会から「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」が刊行されています。こうした基準はあくまで医療者が留意して治療に反映させるべきものであり、一般の患者さんが普段気にするものではありません。医療者もむやみに薬を出しているわけではなく、そうした基準を用いて薬物治療が最適化できるよう努力をしているということを理解していただければと思います。

「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」で対象としているのは、75歳以上の高齢者、または75歳未満でもフレイルあるいは要介護状態の高齢者です。フレイルとは、加齢に伴いストレスに対して弱くなった状態(筋力低下、認知障害、うつなど)を指し、「要介護前段階」を意味します。これらの患者に対しては、「特に慎重な投与を要する薬物リスト」というものがあります。

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