著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

画期的治療が臨床研究へ 最初から薬物療法で乳がんが消えるタイプ

公開日: 更新日:

 女性にとって朗報でしょう。国立がん研究センター東病院のチームは、乳がん治療の前に、外科手術をせずに薬物療法と放射線治療で治癒できるかどうか、遺伝子マーカーで分かる仕組みを解明したのです。今月中にも臨床試験をスタートし、4年後の実用化を目指すといいます。それが実現すれば、世界で初めて乳がんのタイプによって摘出手術を回避できる治療法が確立するのです。

 乳がんの治療は、かつて乳房全摘が主流でしたが、乳房全摘も温存術も生存率に差がないことが分かり、今では乳房を温存する手術に大きくシフトしています。ただ、乳房は、“女性らしさの象徴”ですから、全摘ではないにせよ、メスが入ることに抵抗がある方は少なくありません。

 乳房温存術は、局所手術と再発予防の放射線治療がセット。手術法はいくつかありますが、術後5年以内に局所再発がなければ、局所治療は成功と判断されます。その成否を左右するポイントの一つが、切除断端の陰性化です。

 手術では、ある程度の正常組織とともに腫瘍を切除。切除する範囲の一番外側が「断端」で、そこにがん細胞がないことが陰性です。切除断端の陰性化とは、残っている組織にがんが見られないことを意味します。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…