女性の初婚年齢は約30歳 自然妊娠のチャンスは5年間60回
海外で報告(86年)されている女性の結婚年齢と生涯不妊率の関係は、結婚年齢が30~34歳の生涯不妊率は15%、35~39歳は30%、40~44歳は64%とされている。また、排卵日に性交した年齢別の妊娠率の報告(02年)では、女性年齢が27~34歳は約40%、35~39歳は約30%。男性の妊娠力は40歳から低下するので、女性年齢が35~39歳で男性が5歳上だと妊娠率は20%以下に低下する。
国内の妊婦1767人を対象に年齢と自然流産率を調べた報告(91年)では、25~34歳の流産率は10%程度だが、35~39歳になると20%以上、40歳以上になると40%以上に跳ね上がる。
■35歳を過ぎると不妊率は2倍に
そうすると、現在の女性の初婚年齢が約30歳なので、自然妊娠が難しくなるまで「5年間」しか時間がないことになる。性交回数でいえばチャンスは60回だ。国立社会保障・人口問題研究所が行っている出生動向基本調査の15年データによれば、妻の年齢が20~49歳を対象(5335人)とした調査で不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合は18.2%とされている。
「不妊を減らすには、晩婚化を減らすしか根本的な解決にはなりません。それには働き方改革などで、女性が20代で子供が産める社会環境に変え、男性の子作り・子育ての意識改革が必要です。いくら不妊治療の技術が進歩しても、女性の妊娠適齢期の年齢の壁を変えることはできません」