大きな病院から捨てられた…そんな思いを抱く患者もいる
ある地方を旅行した時のことです。この地域の中核となるZ病院が新しくできたと聞いて、宿泊した旅館の従業員に話しかけてみました。
「大きくて立派な病院ができて良かったですね」
しかし、その従業員は「建物は立派だけど、Z病院の評判は良くないのです」と言って、話し始めました。
「大腸がんの手術をした85歳の老人が、この間、ひどい下痢で入院させてもらって、10日くらいで下痢は止まりました。そこまでは良かったのですが、入院中にすっかり足が弱ってしまったため、『リハビリして一人で歩けるようになってから退院したい』と希望したら、担当医から『ここは旅館ではない』とか『社会的入院はない』と言われたそうです。さらに、『入院していたいなら、G病院に転院したらどうですか』と突き放されたといいます。結局、老人はG病院に転院したのですが、G病院の建物は古く、リハビリの設備もZ病院とは大きなギャップがありました。驚いた老人は『Z病院を追い出された』と口にしています」
この話を聞いた私は、Aさん(58歳・男性)のことを思い出しました。