がん治療が終わってから子供をつくる患者はたくさんいる
若い世代の代表的ながんは、白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍、甲状腺がん、卵巣がん、子宮頚がん、乳がん、精巣がん、骨軟部肉腫などが挙げられます。これらのがんを克服して、完治される方が多くなった現代において、がん治療が終わってから子供をつくられる方はたくさんおられます。しかし、もし「子供が欲しいのにつくれない」となれば本人たちにとって大きな問題です。
がん患者が手術で卵巣や子宮を失う場合、あるいは放射線治療や抗がん剤で、卵巣・子宮、精巣にダメージを受けて子供をつくりにくくなる、つまり「妊孕性」(妊娠する力)が失われる、あるいは低下する場合があります。このことについて、医療はどう対応しているかをお話しします。
病院事務職員のRさん(43歳・男性)は、結婚して半年後、頚部のリンパ節が腫大し、生検で悪性リンパ腫(びまん性大細胞B細胞型)と診断されました。CT検査では腹腔内リンパ節も腫大していることがわかり、ステージⅢでした。
抗がん剤治療で治癒を目指すことになりました。しかし、その前に夫婦で相談して治療開始を数日延ばし、産婦人科のある病院で精子を保存してから治療が開始されました。