むしろ心拍数と体温が上昇 高齢者は扇風機が“毒”になる
例えば、体温が41度を超えると酵素の変性や細胞内のエネルギー産生工場であるミトコンドリアの機能低下を起こす。その結果、細胞はエネルギー不足となり細胞障害が起きる。これを避けるために、猛暑で気温が上がると、体温を下げるメカニズムが働く。
「深部体温が上がると内臓の熱を血液が吸収。熱がこもった血液が皮膚下の血管に集まり、そこから染み出した水分を汗として放出して血液を冷却します。若いうちはこのシステムが正常に機能しますが、高齢者は低下する。そのため深部体温が急上昇して内臓に異常が起きるのです」
こうしたことから世界保健機関(WHO)も、猛暑から体を守るガイドラインとして、「気温35度以上の場合、扇風機の使用では熱中症は予防できない」と注意を促している。米国環境保護庁も、室温が32度以上になったら、扇風機を自分に向けてはいけない、としているという。
■重要なのは「気温」より「湿度」
これを額面通りに受け止めていいのだろうか。
本当に気温が高いときの扇風機使用が危険なのかどうかを調べるための研究が豪シドニー大学の研究者らによって行われ、その結果が米国内科学会発行の学術誌「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン」に掲載されている。