むしろ心拍数と体温が上昇 高齢者は扇風機が“毒”になる
それによると、扇風機が体の負担や不快感を緩和するか体への害となるかは、気温よりも湿度に関係していることが分かった。湿度が低いところで扇風機を使うと、むしろ暑く感じる上に心臓に負担がかかるのだという。
「実験は、12人の男性を対象にさまざまな気象条件を再現できる人工気象室で行われ、『非常に暑くて乾燥した環境』(気温47度、湿度10%、熱指数46)と『暑くて湿度が非常に高い環境』(気温40度、湿度50%、熱指数56)とで比べています」
結果は、扇風機を湿度の高い中で使用した場合、深部体温が下がり、心臓血管への負担が軽減され、快適度も向上した。一方で、熱指数が低い、乾燥した環境で扇風機を使用した場合は、深部温度も心臓血管への負担もぞれぞれ上がり、実験参加者はより暑くなったように感じたという。
「この結果を見る限り、夏の湿度が高い日本では扇風機は欧州などよりもリスクが低いといえるかもしれません。しかし、高温下の高齢者の扇風機使用には限界があるのは明らか。高齢者はやはり、エアコンを使うべきでしょう」