エクモも志村けんさんを救えず…一因は肺の基礎疾患にあり
肺の中にあって空気の通り道となる気管支の先にある肺胞が破壊されて組織が断裂し、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出がスムーズにできなくなる。肺胞はいったん壊れると再生しないため、肺の機能も元通りに回復することはない。
また、肺組織に起こっている炎症によってサイトカインという物質が産生されて全身の臓器に障害を与え、虚血性心疾患や糖尿病などさまざまな病気を招く。
■肝心なのは自身の免疫力
現状では、進行のスピードを緩やかにするしか治療法がなく、日本での患者数は530万人と推定されている。
「エクモは体内のウイルスの増殖を抑えるわけではなく、装置が肺の代わりを務めている間に患者さん自身の免疫力でウイルスを退治し、肺の機能が回復するのを待つ治療です。志村さんは70歳と高齢だったうえ、肺の既往症や胃のポリープ手術で体力や免疫力が大きく落ちていたと考えられます。そのため、回復を待てるだけの時間が足りなかったのでしょう」(水谷清二氏)