新型コロナ<前編>たらい回しにされて検査も受けられず…
「保健所や病院に連絡を入れているうちに咳がひどくなり始め、呼吸もしづらくなってきました。寝ている最中に息苦しくて目が覚め、これまでどうやって呼吸していたのかがわからなくなって、パニックになったこともありました。もしもこれが新型コロナ以外の肺炎だった場合、このまま悪化して死ぬなんてことになったらたまらない。そう考えて、いくつかの病院に『肺の検査だけでもしてほしい』と訴えましたが、それも断られました」
救急車を呼ぶことも考えたが、同じマンションの住人の目が気になった。救急搬送となると大ごとになり、「新型コロナに感染したらしい」とウワサになると、妻と子供がいわれのない中傷を受けて生活しづらくなる……。そう考えると、どうしても119番に電話をかけられなかった。
「そうこうしているうちに、熱が徐々に下がり始めました。1週間ほどで平熱に戻り、息苦しさもなくなりました。念のため、それから1週間ほど自主隔離を続け、会社に復帰したのは5月中旬でした」
本当に新型コロナ感染症だったのかどうかわからないまま、自力で生還した町田さんだったが、その後、思わぬ形で感染の事実を知ることになる。
(後編につづく)