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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

93年が1なら98年は4割減 生年で変わる子宮頸がん発症リスク

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 定期接種は小6から高1の女性が対象で、接種の下限の小6の生まれ年で見た興味深い研究結果があります。日本にHPVワクチンがなかった93年生まれの子宮頚がん発症リスクを1とすると、ワクチンの普及でリスクが低下。公費助成の開始と重なる98年生まれは0・56に下がっています。4割超のリスクが抑えられるという意味です。

 その後、副反応問題の拡大でワクチン接種が停滞したことから、99年生まれは0・6、00年には0・98に上昇。02年生まれ以降は1に逆戻りしています。

 HPVには、100種類以上の型があり、定期接種スタート当時のワクチンは7割をカバーしていました。接種率の7割とカバー率の7割を掛け合わせると、49%とほぼ半分の子宮頚がんを予防できる計算。98年生まれは、この理論値に近い状況でした。最新のワクチンは9割のカバー率ですから、仮に7割の接種率なら6割の女性が助けられることになります。

 子宮頚がんの発症は30代がピークです。晩婚化の今、女性の30代は社会的には重要な働き手であり、出産が重なります。そんな世代の女性が子宮頚がんで倒れると、社会的にも家庭的にもダメージが大きいでしょう。

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