免疫を回避する?東大科研グループが「新たな変異株」を発見
「ヒトの免疫には、体内の異物に即応する自然免疫と、一度体内に侵入した病原体の情報を学習して攻撃する獲得免疫があります。獲得免疫にはさらに大きくわけると『抗体』と呼ばれるウイルスをターゲットとする物質をつくり出すタイプのものと、ウイルスに感染した細胞を直接撃退する『細胞性免疫』と呼ばれるタイプがあります。今回、我々が発見したことは、『L452R』という変異を持ったウイルスは日本人を含む東アジア、東南アジア地域の人類集団の細胞性免疫から一部逃れる可能性があるということです。加えて、この『L452R』という変異は感染力が向上することも細胞実験で示唆されました」
コロナウイルスはおよそ2週間に1度程度の頻度で変異が蓄積しているため、これまで数万もの変異株が誕生したと考えられている。
変異の中で特に危険であることがわかっているものの多くが、新型コロナウイルスの表面にある突起物(スパイク)を構成するSタンパク質のなかで、ヒトの細胞表面にある受容体と呼ばれるタンパク質と結合する部位に起きた変異だ。
現在注目されている変異株、いわゆる英国型、ブラジル型、南ア型もそれらの部位に変異があり、3つ全ての変異株に共通している「N501Y」変異は感染効率の向上に寄与していると考えられていて、ブラジル型、南ア型で見られる「E484K」は抗体からの免疫から逃避に関わっているとわかってきた。