青島周一
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青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

マスクを着用しながらの運動は安全なのか 米国で論文報告

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、スポーツジムやフィットネスクラブでは、マスクの着用を義務付けている施設もあるようです。マスクを着用しての運動は、そのパフォーマンスを低下させる可能性も報告されていますが、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルの電子版に、運動時のマスク着用と、その安全性に関する論文が2021年6月30日付で掲載されました。

 この研究では、女性9人(平均35歳)、男性11人(同39歳)の健常者が対象となり、「マスク着用なし」「微細な粒子でも吸入を防ぐことができるN95マスクの着用」「一般的な布製マスクの着用」という3つの条件で、ランニングマシンによる運動を行っています。運動は段階的に負荷を強め、被験者が疲労を感じるまで行われ、最大酸素摂取量や心拍数、運動時における呼吸抵抗感などが比較されました。なお、呼吸抵抗感は0~10点で評価され、点数が高いほど抵抗が強いことを意味します。

 解析の結果、マスクを着用しないで運動した場合と比べて、マスクを着用して運動した場合では、最大酸素摂取量や心拍数がわずかに低下していました。また、運動時間はマスクなしで591秒、布製マスクで548秒、N95マスクで545秒と、マスクを着用することで運動パフォーマンスの低下も示されています。当然ながら、呼吸抵抗感はマスク着用時で高く、マスクなしの0点に対してN95マスク、布マスクともに7点という結果でした。

 他方で、いずれの実験条件下でも運動量は正常範囲内であり、安全性への懸念は認められませんでした。論文著者らはマスクを着用しながらの運動は安全かもしれないが、息苦しさが増すことは避けられないと結論しています。

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