著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

低血糖は最初が肝心 繰り返すと重症化して気付きにくくなる

公開日: 更新日:

 血糖値が正常範囲以下にまで下がった状態を「低血糖」と言います。一般的に血糖値が60㎎/デシリットルを下回ると、異常な空腹感、体のだるさ、動悸、冷や汗、ふるえ、不安感などが生じ、45㎎/デシリットルを下回ると、眠気、強い脱力感、めまい、強い疲労感、集中力の低下、混乱、言葉が出ない、物が見えにくい、時間や場所がわからない、元気がない、不安、抑うつなどが生じます。

 さらに30㎎/デシリットルより血糖値が低くなると、意識朦朧、異常行動、けいれん、深い昏睡などを生じ、対処が遅れれば命に関わります。意識が朦朧とするので、危険な場所にいたり車を運転していたりすると、事故のリスクも高まります。

「初めて夫が低血糖を起こしたのを見た時は、本当に驚いた」と話すのは、糖尿病歴3年の夫を持つ女性。その日、女性は会社を出るのがいつもより遅くなっていたそうです。在宅勤務の夫には連絡をいれていたので、何かを食べていると思っていた。

 ところが自宅に帰り、夫の仕事部屋に様子を見に行くと、夫がぐったりと椅子にもたれかかっており、何も話せない状態。慌てて救急車を呼んだそうです。

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