「パルスオキシメーター」 日本人では数値が正確でない可能性
新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、注目されている健康機器が「パルスオキシメーター」です。これは指にはめるクリップのような小さな機械で、動脈血酸素飽和度という、体に酸素が足りているかどうかの指標を簡単に測定することができる便利な装置です。
その数値が96%を下回っていると、体に酸素が足りない可能性があります。そのために、新型コロナウイルス感染症の重症度判定においても、酸素飽和度96%以上が軽症かどうかの基準になっているのです。しかし、この数値は常に正確なのでしょうか? 実はそうではないことが最近、世界的に問題となっています。この機械は指先に光を当てて、どの光を血液が多く吸収するかを測定しているのですが、その数値は皮膚の色素の量が多いと、実際より低く測定されてしまうのです。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は去年の2月に安全性情報を出していて、皮膚の色素が少ない白人と比較して、アジア人を含む有色人種では数値が実際より低くなることを警告しています。今年の呼吸器学の専門誌に掲載された論文によると、実際に血液で測定された酸素飽和度と比較して、アジア人ではその数値が5%以上も低くなっていたのです。
パルスオキシメーターの数値が正常でも、それだけで安心とは言えないかもしれません。