動脈硬化を予防するとされるが…善玉コレステロールは実は悪玉?
コレステロールに「悪玉」と「善玉」があるという話は、みなさんも聞かれたことがあるかと思います。悪玉コレステロールというのはLDLコレステロールのことで、この数値が高いと心筋梗塞などの病気になりやすく、一度そうした病気になった人は、薬でLDLコレステロールを下げることにより、病気の再発を予防することができるのです。
一方で善玉というのはHDLコレステロールのことで、この数値が低いことが、同じように動脈硬化の病気のリスクになることが分かっています。そのために、HDLコレステロールを高くするような薬の研究が進められましたが、予期せぬ副作用が出るなどして、今のところ開発には成功していません。
善玉コレステロールは、高ければ高いほど動脈硬化を予防すると、これまで考えられていました。ただ、その常識は最近変わりつつあります。
今年の心臓病の専門誌に掲載された論文に、興味深い研究結果が報告されています。イギリスで41万人以上という大規模なデータを解析したところ、確かにHDLコレステロールが低いと動脈硬化の病気のリスクは上昇していたのですが、男性では高いことも同様にリスクになっていたのです。具体的にはこの数値が80㎎/デシリットルを超えていると、動脈硬化の病気により死亡するリスクが、男性では2倍近く増加していたのです。
善玉コレステロールが高いことも、常に良いとは言えないようです。