「指圧」はなぜ効くのか? 圧による反射で神経や機能を調整するから
素手で直接体に刺激を与え、不調を治す治療法を「手技療法」と言います。皆さんが思い浮かべるマッサージはヨーロッパから伝来したもので、本来衣服の上から行うことはなく、皮膚に直接滑剤などを用いて行います。一方、東洋医学の手技療法には「按摩」や「指圧」などがあり、基本的に衣服の上から行うといった違いがあります。
按摩は奈良時代に中国から日本に渡ってきたとされています。手の指やこぶしをつかって揉んだり叩いたりすることで、筋肉のコリを取り除き、組織の循環を良くし、新陳代謝を高め体の機能調節を促します。
それに対し、指圧は江戸時代に民間に広まった日本生まれの手技療法です。手のひらや指を使い、体にゆっくり圧をかけていきます。圧による反射で神経や筋肉の機能を調整するのです。
按摩も指圧も、全て刺激で起こる生体反応による治療法。その作用は刺激の度合いで2つに分かれます。
まず弱い刺激は、神経・筋への興奮性を高めます。それによって、減退している機能を回復させることができるのです。次に、強い刺激は鎮静的に作用させて緊張を取り除く作用があります。ですから、運動麻痺や知覚鈍麻のような機能の減退が疑われる場合は弱い刺激を、神経痛や筋肉の緊張といった機能が高ぶっている場合は強い刺激を行います。