血液型を決める「糖鎖」が医学分野で熱い注目を浴びている
1月からスタートした本連載も最終回となりました。ABO血液型と感染症、がん、血栓症の関係で、現在までに分かっていることを紹介してきました。血液型と病気というテーマは、世間では「キワモノ」的な扱いを受けていますが、いかがだったでしょうか。
血液型を決めているのは「糖鎖」と呼ばれる物質です。糖鎖は単糖と呼ばれる基本的な化学物質が、鎖状に連結してできたもので、栄養学的には炭水化物と同義語です。生体のエネルギー源という役割のみが強調されてきたため、いまやダイエット信奉者から目の敵にされています。
ところが医学分野では、もっともホットな研究分野として注目を集めているのです。さまざまな種類の糖鎖が全身の細胞膜に発現しており、細胞同士のコミュニケーションや、機能調節に使われていることが分かってきたからです。
とくに、がんとの関係が重視されています。細胞ががん化すると、表面の糖鎖が変化したり、特定の糖鎖が大量に発現することがあります。そのため、さまざまな糖鎖が腫瘍マーカーとしてすでに使われています。