あくびが出るのは知性の証拠 息を吸い込み脳を冷やしている
また、人間では他人のあくびを見ていると自分もあくびが出てしまうことがありますが動物ではわかっていませんでした。そこで、実際に他の動物であくびが伝染するかを日本と英国の研究者が共同研究してその結果を英国王立協会報(生物学・電子版2004年7月21日号)に報告しています。
研究では、母親チンパンジー6頭に対し、知っているチンパンジーがあくびをしているビデオとただ口を開けただけのビデオ、知らないチンパンジーがあくびをしているビデオとただ口を開けているビデオを見せて、あくびの回数を調べています。その結果、あるチンパンジーはあくびのビデオに反応して24回あくびをしたのに対し、口開けビデオでは2回でした。別のチンパンジーはそれぞれ25回と4回で、他の4頭は統計的な差はなかったそうです。
おもしろいのは、ビデオはそれぞれの子供のチンパンジーも一緒に見たにもかかわらず、子供は誰もあくびをしなかったそうです。人間の研究でも2歳から11歳までの子供にあくびのビデオを見せたり、あくびにまつわる話をしたところ、4歳以下ではあくびが出なかったそうです。つまり、あくびが出るのは知性のある証拠でもあるのです。
(弘邦医院・林雅之院長)