寒くなるからこそ「換気」の意味を考える アイスホッケー会場の教訓
「感染対策ではCO2濃度に関係なく、空気の流れをつくり、ウイルスを含んだエアロゾルを拡散し、吸い込むウイルス量を減らしつつ、ウイルスを屋外に排気する必要があります。そうでなければウイルスは屋内にとどまる一方です」
今年1月に北海道・釧路市内で行われたアイスホッケーの試合で起きた大規模クラスターは、その後の調査で、氷の管理のために氷上付近の気流を最小限にするようつくられていて、リンク内やその周辺に気流が停滞。選手ベンチの後方に気流が流れていた。そのため、激しい運動で呼吸量が増えた選手などを感染源にして飛沫や接触、エアロゾルにより最終的に172人に感染が広がったと報告されている。むろん、会場には換気装置があったが感染予防にはならなかった。
「つまり、多くの人に『換気』に対しての誤解があるということです。『ウチは24時間換気だから』『今いる施設は機械換気しているから』特別な対策をとらなくても大丈夫というのは間違いです。換気していても釧路のアイスホッケー場のようにエアロゾルが滞留する場所と流れる場所は混在しています。人数とは関係なく人がいる場所では常に空気が移動、拡散するように配慮することが大切です。そもそもCO2に比べてエアロゾルは重く滞留しやすいことを忘れてはいけません」