新型コロナワクチンはなぜ“企画倒れ”なのか 京大医生物学研究所准教授に聞く③

公開日: 更新日:

「しかし、そもそもコロナウイルスに対するワクチン自体、作るのが難しいと思います。事実、豚や牛、犬に対するワクチンはありますが、コロナウイルスを根絶できたものはありませんし、猫においては有効なワクチンすらできていません。呼吸器感染症で防御効果があるのは粘膜面に出てくるIgA抗体です。しかし、今回のmRNAワクチンのIgA抗体の誘導能は低い。時間がたてばIgA抗体も減って効かなくなる。それもウイルスが変異すれば対応できません。むしろ、変異したウイルスにワクチンを打ち続けるとリスクがあります。抗体にはウイルスの感染性を失わせる中和抗体と、その能力のない非中和抗体がありますが、結果的に後者の割合が増えて効かなくなってしまうからです」

■非中和抗体が増えてマイナス面が大きくなる可能性

 仮にスパイクタンパク質に抗体がくっついて、ウイルス感染受容体を介しての感染を防いだとしても、新型コロナは別の方法でヒトの細胞に感染できるという。

「マクロファージなどの免疫細胞の表面にあるFc受容体と血中のIgG抗体が結合して、エンドサイトーシスと呼ばれる経路でヒト細胞に侵入することが可能です。この作用が中和抗体の作用を上回ると逆効果になります。ヒトのデングウイルスなどで見られる現象で、珍しいことではありません」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」