著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

在宅医療開始初日に…「長いお付き合いになると思っていたところでした」

公開日: 更新日:

「はい、もういつでもお願いします」(妻)

「訪看の方も同席させていただきます」(訪看)

 電話が訪看さんから私のところにきたのは、その日の夕方のことでした。

「先ほど診察していただきましたが、先生方が退出後にバイタル測定不能になっています。待機でよろしいでしょうか?」(訪看)

「お願いします」(私)

 そして折り返しの電話で、奥さまにも代わっていただきました。 

「訪看さんから状態をお伺いすると、厳しい状態が近づいてきているかなと思います。ご家族の方はお声掛けしていただいて、そばに付き添っていただければと思います」(私)

「瞳孔散大、30秒に1回の呼吸です。あ、今呼吸が……」(訪看)

「向かいます!」(私)

 私は急ぎ自宅に到着し、死亡を確認しました。

「長いお付き合いになると思っていたところでした。先生にはありがとうございました」(妻)

 こういうときはいつも医師としてもう少し何かしてあげられなかったかなと振り返り考えてしまいます。答えはありませんが、考え続けることに意味があると思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース