92歳男性患者…誤嚥を繰り返しても肉まんや餃子を口から食べたい
92歳になる男性患者さんは中国残留孤児の方で、都内の団地に中国人の奥さまと2人暮らし。がんを患い、治療は成功したものの、体が衰弱し、徐々にベッドにいる時間が長くなっていました。ご本人と奥さま、そして近くに住む娘さんは日本語がほとんどできないため、私たちの診療所の中国語対応スタッフ、または日本語がわかるお孫さんがいる時に、診療を行うことになりました。
病院の先生からは「誤嚥性肺炎を繰り返す恐れがある。口から食事を取るのはもうやめて、胃ろうをつけてはどうか」との提案があった様子。しかし、患者さんは食欲があり、最期まで食事をしたい。ご家族も同様で、肉まんや餃子を食べて元気になってもらおうと一生懸命でした。患者さんとご家族が在宅医療にこだわったのも、「食事をしたい。好きなものを食べたい」という希望をかなえるためでした。
「むせ込みのチェックをさせていただきたいです。普段から食べているものがあれば持ってきてもらっていいですか」(私)
「これ(肉まん)を普段は食べています」(娘)