新がん治療で注目「放射性リガンド療法」の威力…細胞の内外から放射線を照射
「リガンド」とは、「結合するもの」という意味。放射性医薬品ががん細胞に到達するのは、もちろん偶然ではない。「A」というがんがあるとすると、「がんA」に集まる特定の化合物がある。その化合物を人工的に作り(がん標的分子「リガンド」)、キレート剤という低分子薬剤によって、放射性同位元素と強固に結合させる。つまり、リガンドと放射性同位元素(&キレート剤)で成り立つ薬が、放射性リガンド療法で用いられる放射性医薬品(放射性リガンド)となる。
「がんA」には「リガンドA」を、「がんB」には「リガンドB」を、というようにリガンドを変化させれば、さまざまな種類のがんに対応できる可能性がある。
■散らばったがんにも有効
「放射性リガンド療法は、放射線照射でがんを縮小・消失させる『治療』だけではなく、『診断』にも使えます。放射性同位元素には診断用のものもあり、診断用とリガンドを結合させた放射性医薬品を投与すれば、がんの場所に集まるので、どこにがんがあるかがわかります」
診断用放射性リガンドで標的の場所を確認した後、続いて治療用放射性リガンドで治療を行うこともできる。