副鼻腔炎の治療は進歩している(2)新たな治療機器の登場で痛みが少ない手術が可能に
「内視鏡手術では、鼻の穴から『マイクロデブリッター』と呼ばれる機械を挿入し、先端に付いた高速回転するカッターで粘膜や膿を削りながら吸引します。手術時間が短縮でき、患者さんが感じる痛みも減ります。ただ、副鼻腔は目の奥や頭と隣接していて、器具の方向を誤って深く挿入すると眼球の筋肉を傷つけて目の動きが悪くなったり、髄膜炎を引き起こすリスクがある。手術前にあらかじめ撮影したCT画像のデータからマイクロデブリッターの位置をリアルタイムに把握できる『ナビゲーションシステム』を併用しながら手術を行うことで、そういったリスクが回避できます」
内視鏡手術は基本的に全身麻酔で行われ、手術時間は約2~3時間だ。90歳を越えていても全身状態が良好で麻酔に耐えられると判断されれば手術は可能だという。
気になる内視鏡手術の一般的な負担額は、3割負担で約20万~30万円。薬物療法で効果がなく、生活に支障を来しているなら一度医師に相談するといい。
次回は、内視鏡手術を受け、嗅覚が回復して生活の質(QOL)が改善したケースを紹介する。 (つづく)