悲しくないのに…高齢者に多い「涙が止まらない」目の病気
「涙が出すぎてモノがぼやけて見える」「悲しくないのに涙が出る」--。高齢者の中にはこんな悩みを抱えながらも、「老化の一環だから仕方がない」とあきらめている人も少なくない。どうしたらいいのか。眼科専門医で「自由が丘清澤眼科」(東京)の清澤源弘院長に聞いた。
◇ ◇ ◇
90代の男性は、数カ月前から悲しくないのに涙がこぼれるようになった。「老化で涙腺が弱ったのか」と自分自身で納得させているが、涙で視野がぼやけて見づらくて仕方がない。最近では大好きなテレビドラマを見るのも厳しくなり、気持ちが落ち込んでいるという。
「涙は血液を原料にして涙腺で作られる液体で、目を守るための成分が含まれています。通常は、まばたきをするたびに涙腺から分泌されて角膜表面に均一に広げられ、余った涙はまぶたの目頭側にある上下の涙点から涙小管に吸い込まれ、涙嚢と呼ばれる袋にたまります。そして、鼻涙管を介して鼻腔に流れる仕組みです。涙が止まらないのは、涙点に入りきれないほどの涙の量が分泌されて、目の表面からこぼれ落ちるからです」