梅毒の新規感染件数…前年比で先週より悪化したのは25都道県
国立感染症研究所は24日、感染症発生動向調査(IDWR)速報データ第37週(9月9日~9月15日)を発表した。
梅毒の新規感染報告件数は新たに196件が加わり、今年の累計数は1万162件となった。過去最多を記録した前年同期の1万657件に比べて、マイナス495件。この数字は第34週がマイナス660件、第35週がマイナス597件、第36週がマイナス549件だったことから、全国の梅毒の新規感染報告数は頭打ちとはいえ、その減少幅は引き続き縮小傾向にあることがわかった。
前週よりもこの数値が「悪化している」は25都府県、「変わらず」が11県、「改善している」が11道県だった。悪化が目立つのは、愛知、埼玉、岡山、神奈川、群馬など、「改善」は福岡、三重などだった。人口100万人あたりの患者数で上位の宮崎も悪化は止まっていない。
性感染症の専門医で「プライベートケアクリニック東京」新宿院の尾上泰彦院長が言う。
「問題は新規感染報告件数だけではありません。その中心が地方でも20代女性であることです。厚労省によると、2022年に第一子を生んだ女性35.5万人のうち25~34歳が約68%を占めています。花柳病と呼ばれ、特殊なエリアだけの性感染症だった梅毒が全国に広まり、妊婦の梅毒感染のリスクが高まっていることに注意が必要です。実際、生まれながらにして梅毒に感染した、先天性梅毒の子供は2020年までは全国で20件前後でしたが、昨年は37件と急増。今年も9月11日時点で22件が報告されています。悪化が目立つエリアの人たちはより注意を払う必要があります」